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中国本土向けAndroidスマホの組み込み監視機能:実証されていることと、身を守る方法
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結論から言うと、中国本土で販売されているAndroidスマホには、インストールしているアプリ、その利用時間、現在地を把握できるシステムコンポーネントが実際に入っています。その一部はメーカー自身の文書に書かれており、一部は公開されたリバースエンジニアリングや学術研究で裏付けられています。ただし、ネット上で出回っている話の多くは証明されていません。このガイドでは出典のあるものだけを扱い、「メーカーが文書で明らかにしているもの」「研究者が確認したもの」「リバースエンジニアリングの報告」「まだ証明されていないもの」の4つに分けて整理します。そのうえで、中国でVPNを使う場合にこれが何を意味するのか、そして誰にでもできる対策をいくつか紹介します。VPNはネットワーク通信を暗号化するものであり、スマホのシステムそのものを制御することはできません。この点を念頭に置いて読んでください。
メーカーが文書で明らかにしているもの:Xiaomiの「デバイス詐欺検知」
XiaomiのHyperOS開発者プラットフォームでは、提携企業向けに提供している「デバイス詐欺行為検知」というサービスの説明文書が公開されています(2026年4月15日更新)。提携企業のアプリはスマホの「詐欺リスクスコア」(0〜100)を照会でき、より深く提携している企業は過去72時間の具体的な行動まで照会できます。対象は、スクリーンショット、画面の録画や共有、機内モード、通話転送、遠隔操作・金融・ローンのアプリや「識別できない」「不審な」アプリのインストール、海外との通話、要注意とされたURLへのアクセスです。
文書によれば、ユーザーが通話履歴やアプリを削除しても検知は機能し続け、インストールしたアプリは有効期間内にアンインストールしてもカウントされたままです。対象はHyperOS 3.1以降を搭載した中国本土向けの端末で、スマホとタブレットの両方です。データが警察に渡るとは書かれておらず、ユーザーがこれをオフにする方法も書かれていません。
研究者が確認したもの
- キーボード(Citizen Lab、2024年4月):9社(Baidu、Honor、Huawei、iFlytek、OPPO、Samsung、Tencent、Vivo、Xiaomi)のピンイン(中国語)入力キーボードのうち8社のものに、ネットワークを盗聴する第三者が入力内容を読み取れる欠陥があり、影響は10億人近くのユーザーに及びました。大半はすでに修正されていますが、研究者は今も、変換候補を端末内だけで出すキーボードを勧めています。
- プリインストールアプリ(エディンバラ大学とダブリン大学トリニティ・カレッジ、2023年):中国で購入したXiaomi、OnePlus、OPPO/realmeのスマホでは、プリインストールアプリが端末識別子、位置情報、電話番号、アプリの利用状況をメーカーや第三者に送信していました。初期設定で利用データの提供を断っても送信は止まらず、国外でも続いていました。
- キーワードリスト(リトアニア国防省、2021年):Xiaomi Mi 10Tのシステムアプリには、ブロック対象の449語のリストが入っていました。EU地域ではオフになっていましたが、遠隔でオンにできる状態でした。Xiaomiは、ユーザーの通信を制限していることを否定しました。
新しいリバースエンジニアリング報告:China Unicomのプリインストール報告コンポーネント(2026年10月〜)
GitHubで公開された報告は、HyperOS 3.0を搭載したXiaomiのスマホ1台を分析したものです。China Unicomがプリインストールしているコンポーネント SystemHelper(パッケージ名 com.mobiletools.systemhelper)は、30分ごとに位置情報(小数点以下6桁)、基地局、周辺のWi-Fiを収集し、端末とSIMの識別子、インストール済みアプリの一覧とその利用状況とあわせて、定期的にUnicomのサーバーへ送信しています。通信は平文のHTTPで、データは内容そのものから導き出した鍵で暗号化されています。アイコンはなく、アプリ一覧にも表示されず、オン・オフの切り替えもありません。別の解析では、SIMがChina Mobileのものでも、Unicomへの登録を続けていることが示されています。
Xiaomiだけではありません。vivoのシステムプロパティにはこのパッケージ名が記載されており(GitHubで公開されているissue)、中国本土向けのvivo X200Sでは「アンインストール」と「強制停止」がグレーアウトした状態で表示されます。OPPOやrealmeのプリインストールアプリ一覧にも含まれています。コンポーネントのコード自体にはSamsung、Motorola、Nubia、OnePlus、ZTEなどのブランドが列挙されているため、中国本土向けのSamsung端末も対象範囲に入りますが、Samsungのファームウェアから見つけたと公表した人はまだいません。HuaweiとHonorはリストに含まれていません。
報告の作者は、テストしたのは1台だけだと断っており、開発者の意図については何も主張していません。
まだ証明されていないもの
- 「セキュリティコンポーネントが数秒ごとに画面を録画してアップロードしている」:あるユーザーのリバースエンジニアリング投稿によるもので、上記の報告では、その種のコンポーネントからそうしたアップロードは確認されていません。
- 「中国本土向けのSamsung端末にはすでに入っている」:今のところ根拠はコンポーネントのコードにあるブランド一覧だけで、Samsungのファームウェアからの証拠はまだありません。
- 「XやTelegramを入れていた人のところに警察から電話があり、アンインストールするよう言われた」:また聞きの話で、それがスマホからの報告によるものかどうかは確かめようがありません。
- 私たちはこれらを事実としては扱いません。だからといって嘘だというわけではなく、どれもまだ2つ目の独立した情報源が欠けているということです。
中国でVPNを使う場合、何を意味するのか
VPNは端末とサーバーの間の通信を暗号化するので、通信事業者もファイアウォールも、あなたがどこにアクセスしているかは見えません。しかし、スマホのシステムはトンネルのこちら側、つまりあなたの手元にあります。どのVPNアプリを入れたか、いつ開いたか、どれくらい使ったかをシステムは知っています。2023年には、Xiaomiのセキュリティセンターが Telegram を「セキュリティ審査に不合格」と判定し、インストールをブロックしました。
つまり、どんなに良い回線でも、スマホ自体の中で起きていることは解決できません。効果があるのは、スマホに知られることを減らすことです。
誰にでもできること
- 大事なことは、中国本土のメーカーが運営していないシステムで扱いましょう。iPhone、またはグローバル版ファームウェアのAndroidスマホです。中国本土向けのAndroidスマホは普段使いなら問題ありませんが、見られて困ることには使わないでください。
- キーボードの「クラウド入力」や「クラウド候補」をオフにするか、端末内だけで動くキーボードに切り替えます。
- 「設定」でアプリの権限を見直し、必要のないアプリには位置情報、連絡先、アプリ一覧へのアクセスをオフにします。スマホのセキュリティアプリや管理アプリで「詐欺検知」や「セキュリティスキャン」をオフにできる場合は、オフにします。
- プリインストールのコンポーネントを消すためにroot化やファームウェアの書き換えはしないでください。ほとんどの人にとっては、失敗したときの損失のほうが得られるものより大きく、コミュニティ製のブロック用モジュールはどれもroot化が前提で、何かが壊れても助けてくれる人はいません。
- VPNアプリそのものをスマホに入れないようにします。回線を設定した自宅のルーターを使えば、スマホはWi-Fiにつなぐだけでファイアウォールを越えた状態になり、システムからは普通のWi-Fiにしか見えません。
LeoTun にできること、できないこと
できること:ネットワーク通信を暗号化し、アクセス先を記録しないこと。私たちのクライアントは標準的なもの(Cisco、OpenVPN、Hiddify、Tailscale)で、手を加えていません。さらにルーター方式なら、スマホにVPNアプリはまったくありません。
できないこと:スマホのシステム自体が報告するのを止めること。それに効果があるのは、別の端末を使う、権限を絞る、見られて困るものを中国本土向けファームウェアに置かない、ということだけです。
よくある質問
iPhoneにも同じ問題はありますか?
上記の報告は、中国本土向けのAndroidファームウェアとそのプリインストールアプリについてのものです。iPhoneにはこうした通信事業者やメーカーのコンポーネントは入っていませんが、中国地域のApple IDとApp Storeは中国の規則に従うため、センシティブなアプリが削除されることがあります。
グローバル版のAndroidスマホなら安全ですか?
グローバル版ファームウェアには、通常こうした中国本土向けの詐欺対策コンポーネントや通信事業者のコンポーネントは入っていません。ただしリトアニアの事例が示すように、遠隔でオンにできる機能が残されていることはあり得ます。中国本土版よりはましですが、リスクがゼロではありません。
VPNをオンにしていれば、スマホが送る報告も暗号化されますか?
報告もトンネルを通りますが、トンネルが守ってくれるのは経路上にいる相手からだけです。報告を受け取るのはメーカーと通信事業者で、彼らは内容をそのまま読めます。
SystemHelperは削除できますか?
adbやroot化でアンインストールする人もいます。ほとんどの人にはおすすめしません。システムアップデートが壊れることがあり、誰にも直してもらえません。最初から入っていない端末を使うほうが簡単です。
これらの内容はどこで確認できますか?
XiaomiのHyperOS開発者プラットフォームにある「デバイス詐欺行為検知」のサービス説明、Citizen Labの2024年4月のキーボードに関する報告、arXiv論文 2302.01890、GitHubの hyperos-dm-report です。私たちが引用する場合は、原文の記述が優先されます。